事業成果報告書

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地域資源と健康をマネジメントする「食のソムリエ」育成事業成果報告書PDFダウンロード

地域資源と健康をマネジメントする「食のソムリエ」育成事業

地域資源と健康をマネジメントする「食のソムリエ」育成事業eラーニング

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会議体の運営

(詳細は事業成果報告書 5~12ページを参照)

会議の運営

本事業で開発するカリキュラムが適切な成果が得られるように目的別の会議体を設定した。
会議体の構成委員には学識経験者、連携する自治体、民間企業、有識者をはじめ本事業関係者もメンバーとして構成することで、適宜、意見やニーズが反映できる体制とし、今年度もカリキュラム開発会議、プログラム開発分科会並びにプログラム検証分科会を開催した。

カリキュラム開発会議

プログラム全体について課題の抽出・検討を行い具体的な方向性を検討するため、2019年度は2回実施した。

カリキュラム開発分科会

基礎調査の分析結果に基づいたカリキュラムの構成、内容等についての助言を委員の先生からいただき、新規プログラムの策定やeラーニングのスキーム設計に反映させる。

プログラム検証分科会

ニーズ調査、実証講座等の検証を踏まえて、開発中のカリキュラムの実効性について助言をいただき、次年度以降の課題を整理する。

基礎調査1の実施(茨城県の住民のニーズ)

(詳細は事業成果報告書 13~51ページを参照)

「食と健康」「食のソムリエ」の教育分野に関連する現状として、地域住民の食や健康に対するニーズを把握し、当教育プログラムにそれらのニーズを取り込むことを目的に調査を行った。茨城県の住民を対象に食や健康に関するニーズをWebアンケートを用いて把握した。

アンケートは、Webの匿名方式でWebアンケート事業者が持つ回答モニターに対して行った。

カリキュラム・プログラムの開発

(詳細は事業成果報告書 41~65ページを参照)

基礎調査2の実施(受講対象者のニーズ)

(詳細は事業成果報告書 52~82ページを参照)

当教育プログラムの受講候補者に当教育プログラムの概要を示し、そのニーズを取り込むことを目的に調査を行った。調査対象者は、関東圏内で調理関連の業務に携わる者で、方法としてはWebアンケートを用いた。

アンケートは、Webの匿名方式でWebアンケート事業者が持つ回答モニターに対して行った。

カリキュラム・プログラムの開発

(詳細は事業成果報告書 83~91ページを参照)

本事業で開発する科目群は、既存カリキュラムでは明確に科目設定していない「地域」を意識した「健康」「食資源」「情報」に関する分野を想定しており、将来的には2年次の教育課程の中に有機的に組み込み、既存のカリキュラムと連動させて教育効果を上げるプログラムとすることを目指している。

キャリアフレームワーク Ver.2

昨年度開発したキャリアフレームワークでは、食のソムリエが果たす機能のうち調理師養成課程の既存カリキュラムとして取り上げてこなかったテーマについて、新しく追加する学習分野を設定し、それらの分野を教育課程に取り込むこととした。昨年度実施したニーズ調査において既存カリキュラムの必要性は確認できたため、新しく追加するカリキュラムの見直しを行い、今年度のキャリアフレームワークに反映させた。

既存カリキュラムへの取り組み

カリキュラム Ver.2の開発

昨年度作成したカリキュラムver.1(素案)をもとに、より深い授業展開を目指し、分野名や科目名・授業時間の見直しを行ったカリキュラムver.2を作成。各会議体で得た意見や実証講座を踏まえて、以下の構成図に沿ってシラバスver.2の開発を進める。

カリキュラムver.2構成図

カリキュラムver.2構成図

シラバス Ver.2の開発

カリキュラムver.2をもとに、設定した3分野9科目においてシラバスを作成した。今年度、全6回の実証講座と、全4回の会議を行いながら、どのようなポイントで授業を進めていくのが良いのかを再度検討した。
最終的に様式も変更し、シラバスver.2を完成させた。

カリキュラム例:地域健康

コミュニティヘルスケア(基礎)では、講義を2コマから3コマに変更し、コミュニティヘルスケア(応用)では、実習を8コマから6コマに変更した。基礎を講義1コマ学び、応用として実習2コマで調理手法を学ぶ構成にした。

また、自治体(茨城県)が公表している地域の健康課題をピックアップし、授業計画の組み立てを行った。
健康課題から派生する疾患は異なるため、それぞれに対しての理解とどのように予防することが出来るかの解決法を、講義と実習で学ぶことが出来るようにした。

地域健康:コミュニティヘルスケア(基礎)

地域健康:コミュニティヘルスケア(基礎)

地域健康:コミュニティヘルスケア(応用)

地域健康:コミュニティヘルスケア(応用)

コマシラバス、キャリアアセスメントツール(様式例)

シラバスver.2を基に、コマシラバス、キャリアアセスメントツールの様式を整え、内容を検討し、それぞれのver.2を作成した。
コマシラバスの到達目標は具体性があったほうが良いため、科目によってだが最大10項目で設定をする。
キャリアアセスメントツールとして「授業振り返りシート」を、コマシラバスに沿った設問設定を行い作成した。
授業終了後に習熟度を確認することを目的として設定している。

コマシラバス (様式例)

コマシラバス (様式例)

キャリアアセスメントツール(授業振り返りシート) (様式例)

キャリアアセスメントツール(授業振り返りシート) (様式例)

eラーニングコースの作成

(詳細は事業成果報告書 92~101ページを参照)

本事業で使用するeラーニングプラットフォームは昨年度事業において構築した。

本年度においては、そのプラットフォームの上に、本事業で開発した科目の学修要素(シラバス、コマシラバス、教材、授業映像、演習問題、アンケート等)を配置し、受講可能なコースとして作成する。

昨年度事業において想定した基本的な学修要素の関係は次図のとおりである。

学修要素の関係

本年度は、この構造にしたがって、次図のようなイメージを共有しながら、コース作成を進めた。

コース作成のイメージ図

コースの一部の具体的な事例

受講者は、
 ■一つの科目について、
  □シラバスを閲覧する、そのうえで
  □一つのコマについて、
    ・コマシラバスを閲覧し、
    ・教材を読み、それを参照しながら、
    ・講義映像を視聴して理解を図り、
    ・演習問題を解いて学修成果を確認する
   ことを繰り返し、それが終わったら
  □科目アンケートに回答する
以上のプロセスを全科目について進めていく、というイメージである。

本事業では、このイメージに従って、eラーニングコースを作成した。

eラーニングコースの全体像

本年度は、昨年度事業で開発した教材や収録しておいた映像も含め、次の表に掲げる科目を対象にしたeラーニングコースを作成した。

eラーニングコースの構成要素

eラーニングコースの試用と課題認識

eラーニングコースは、昨年9月20日に初期化され、以後、学修ページに順次学修要素を設定してきた。
その後、本校の教職員および一部の学生に協力を求め、現在は試用期間のさ中にある。

その中でさまざまな意見が提示されているが、まずは「映像が見にくい」「一つの映像が長い」など、映像に関する要求が第一に提示されている。eラーニングといえば、まず映像に期待が集まるので当然といえば当然である。

映像の制作には一般に大きなコストがかかる。一方で、スマートフォンの普及などによって映像を手軽に撮影することも可能になった今、あらためて、その制作方法を標準化し、教職員がみなその方法を理解して実践できることは、本校だけでなく、多くの専門学校にとってニーズがあると思われる。

そこで、本事業では、来年度以降の本番を見据え、映像制作の方法の標準化およびその方法のマニュアル化を企図し、教材の開発に着手し、一通りの完成を見ることとなった。

また、本事業がeラーニングのプラットフォームとして採用したMoodleは、多くの高等教育機関において活用され、リカレント教育の普及・促進を目指す専門学校にとっても共通のものとして使用できることが明らかになってきたと認識している。

そこで、本事業では、これも来年度以降の本番を見据え、Moodleを使ったコース作成や、コース上で学修要素を編集して科目や授業を作成する方法を学習する教材の開発にも着手し、一通りの完成を見た。

これらの教材を活用してeラーニングに関する教職員のスキルアップを実現し、最終年度における「地域資源と健康をマネジメントする『食のソムリエ』育成」プログラムの完成に向けて役立てたい。

実証講座による検証

(詳細は事業成果報告書 102~116ページを参照)

 
カリキュラムver.2を軸に6つの実証講座を設定。シラバス、コマシラバスver.2の検証も兼ねて実証講座を行った。講座の理解度や必要性を把握するために、終了後にアンケートを実施し、効果を把握した。

実証講座の実施

実証講座の実施

実証講座から得られた示唆

  • ソーシャルネットワークの利用者が多い事と、とても身近なツールである事から情報発信を学ぶカリキュラムを考える際には、ソーシャルネットワークを題材にする事は欠かせない。
  • 料理を情報として伝える際に、写真はとても有効的であることに加え、ただ料理の写真を撮影し情報発信するのではなく、写真の撮り方を工夫することや適切な発信ツールを選択することが効果的な発信をするために重要である。
  • テーマを絞り「講義」+「実習」の形で実施することで、講義で聞いたことをすぐに実習で体験したことで理解度が上がり、さらに実践力が身につくことが示唆された。
  • 茨城県は、野菜生産量が多い県であることや高血圧や糖尿病の罹患率が高いことなどを認識し、「手軽な野菜の食べ方」「バランスの良い食べ方」についても学習し、今後の食生活の改善に役立てられることが示唆された。
  • 「食空間コーディネート」は自分で作った料理をいかに美味しく見せるかを知る科目でもあり、今後に生かしていきたいという前向きな意見も多く、学習の必要性があると思える。
  • 実証講座終了後のアンケートでは、学習の必要性が評価され、内容についても効果的であるととらえる結果が多かった。ただ、昨年度の示唆でも示した既存カリキュラムとのつながりについては、まだ企図的に行えていない科目もあるため、より効果的なカリキュラムとするために前後の学習と関連性を持たせて行くことが重要である。
  • 茨城県を題材にした講座を2回実施したが、県内の取り組みについての受講者の認識が低いことが分かった。本カリキュラムにおいて設定している「地域健康」「地域食資源」「地域と情報」の3分野の必要性を改めて認識した。

事業総括

取り組みを振り返って

会議体の運営について
  • 豊富な知識と経験を有する委員の方々に幅広い分野からご参加頂き、専門性の高い、かつ実践的な見地からの意見を伺うことができた。
  • 本事業のさらなる可能性や進むべき方向などについても重要な示唆や助言を頂き、今後の展開につながる新たな視点を得たことで、社会のニーズに的確に対応できる事業として構築するための有効な場となった。
基礎調査について
  • 昨年度は広く食分野に従事する者に求められる能力について回答を得たが、今年度は条件や対象を変え、地域住民(エンドユーザー)が食に対して何を求めているか、調理従事者(受講候補者)が本事業で提案する学習内容を学びたいと思うかどうかなどの具体的な設問に対して回答を得たことで、カリキュラムに求められるニーズを見極める糸口となった。
  • とくに20~30代の受講候補者が本事業で開発しているプログラムへの学習意欲が高いことが興味深い。時代のニーズにあった調理師を養成するカリキュラムを作成するうえで、若年層から支持を得られたことは大変重要な結果であった。
カリキュラム・プログラム開発について
  • 昨年度設定したカリキュラム素案を見直し、様式を整えたver.2を開発することが出来た。
  • シラバス、コマシラバスの各科目概要と達成目標については、実際の授業を想定して、より現実的なものとなった。今後の授業展開や内容、教材開発については、今年度実施した会議体や基礎調査、実証講座、eラーニング教材の開発等から得た検証結果をもとに、最終年度に向けてさらなる研究の必要がある。
eラーニングの開発について
  • 今年度実施した実証講座の映像や講義資料などを基にeラーニングのコンテンツ整備を行った。実証講座の実施回数が増えたことにより、その内容も充実させることができた。
  • ただし、対面して実施した授業の資料や映像を使用して作成しているため、eラーニングとして活用しやすいコンテンツ設計には至っていないという課題が残る。
  • 教職員自身が運用の仕組みをよく理解し、目的に沿って活用の幅を広げていくことで、さらに効果的な学習要素の提供を行ってくことができる。
  • 今後、ニーズ調査の結果や各会議での意見を参考にし、また校内での活用テストを行うなど、より一層内容を充実させるとともに、最終年度に向けて仕組みの整備や運用にあたっての課題を解決していくことが重要となる。
実証講座について
  • 昨年度に引き続き「講義+実習」「講演会」「講義」の形で実施したが、受講者は熱心に授業を受けていた。また、質問等も活発に行っており、積極的に学ぶ姿勢が見られた面が多々あった。
  • 会議の中で提案された「ケーススタディ」や「ワーク型」のように、受講者自身が考え、課題解決をしていく授業方法も、実証講座に取り入れて検証していきたい。
  • 学生の興味をもつ内容の授業や実習形態を模索し、魅力あるカリキュラムにする為の努力が必要である。

今後の課題と次年度に向けて

「食のソムリエ」を育成する事業に取り組んで2年目が終了する。事業が進むにしたがって、私たちが「食のソムリエ」に求めるところの、「地域資源を有効に活用して、地域の人たちの健康をマネジメントし、食を通して地域を活性化することのできる人材」は、今後ますます必要とされるに違いないという確信は、強くなるばかりである。

本年度改めて方向性を見定めたカリキュラムについては、事業最終年度となる次年度を持って、ひとつのプログラムとして完成させなければならない。そのためには、全国どこの専門学校や調理師養成施設で採用されてもその目的を果たすよう、普遍性のある、実効性の高いものに仕上げていく必要がある。

また、本事業で立ち上げたホームページやeラーニングのプラットフォームについては、事業およびプログラムを波及させていくうえで、多くの可能性を残したままである。

さらに「食のソムリエ」を認証する制度を作り、定着させていくことができたならば、プログラムの意義も高まるであろう。

本プログラムの一連の学びを通して養成された「食のソムリエ」が、自らの根ざす地域で活躍できることを願って、さらなる内容の充実を図りたい。